2024年も長年の伝統を受け継ぎながら優れたアーティストの発見と育成に取り組むことを目指すデルヴォーでは、ベルギー人アーティストのカスパー・ボスマンスと対話を重ねながら、共通の神話と限界を押し広げる意義深い作品を生み出すための取り組みを始動します。
この予期せぬパートナーシップによって、製品とアート、流動性と構造、テクニックとインスピレーションの境界を曖昧にする生き生きとした交流から「Oeuvre Totale」(完全な作品)が生まれ、別物でありながらも深く結びついた 2 つのクリエイティブな存在が共通の価値観を体現する「Objets du désir」(欲望の対象)が生み出されます。
グラフィカルで華やか、情熱的でありながら、実に深い意味を持つボスマンスの作品は、幅広い歴史的なシンボルや記号からインスピレーションを受けています。デルヴォーの CEO である ジャン=マルク・ルビエは、2022年半ばに WIELS 財団美術館を訪れた際、ボスマンスの作品と出会い、かつてアイデンティティを示すための図形として用いられた家紋、紋章、旗、軍旗などへのこだわりの中にデルヴォーとの共通点を見出し、深いつながりを感じました。この両者が共有するこだわりは、単なるノスタルジーを超えて、アイデンティティ、文化、コミュニティの哲学に影響を与えています。ここから生まれたクリエイティブな交流は、互いのアイデンティティを伝え合うことが、いかに調和の取れた、驚くほど独創的な交流につながるかを示しています。
こうした交流から生まれたコレクションでは幅広いテーマを扱っており、若手アーティストと世界最古のラグジュアリーメゾンという対極に位置する 2 つの存在がぶつかり合い、共に新しい世界観を創造することで豊かな相乗効果を生み出しています。デルヴォーを象徴する 10 のデザインは、アトリエの優れたサヴォアフェールの限界をさらに押し広げ、最先端の技術と伝統的な技術を融合させ、英雄主義、品格、英知、守るだけでなく豊かにする過去、孤立するのではなくつながる勇気、そして常に流れるアイデンティティの美しさを表現しています。
短期間で終わってしまう現代の「コラボレーション」ではなく、デルヴォーの精巧なデザインと誠実な理念によって実現した究極の関係、それが「ミューチュアリズム - 共生」です。これにより、それぞれが独自のエッセンスを失うことなく、互いをさらに豊かに発展させ合うことができるのです。
500年の歴史を誇るロベール・デュフールのオービュッソンにあるアトリエで織り上げられた Tempête XL Chimera (タンペート XL キメラ) の複雑なタペストリー、デルヴォーのアトリエが作り上げた美しいレザーのマーケトリー(象嵌細工)、ベルギーに残る最後の Emaillerie(エナメル加工)のアトリエで作られた Cool Box Stargazer(クールボックス スターゲーザー)のためのエナメル製のヤモリの目は、ボスマンス自身と同様に創造的なプロセスの中心的存在となっています。この作品から感じ取れることは、アイデンティティは孤独ではなくつながりの中から育まれるということです。